低温でもしなやかで強い鉄鋼を作る技術を開発することに、独立行政法人物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の木村勇次・主任研究員らが成功した。
低温で鉄鋼がもろくなる現象は、タイタニック号が氷山にぶつかって沈没した原因とされている。新たに開発された鉄鋼は、従来の鉄鋼より約6倍大きい衝撃力に耐えられ、船の軽量化による省エネルギーや、安全性の高いボルトの開発に道を開くと期待される。米科学誌サイエンスに掲載された。
金属は低温になると衝撃に弱くなる性質を持つ。低温環境でも破壊されにくい鉄鋼を作るには、コバルトなど希少金属を混ぜる必要があり、高価になるなどの課題があった。
木村さんらは、鉄鋼を作る際に摂氏500度程度の温度で圧縮してつぶすことで、鉄鋼内部の微細構造を球状から繊維状にした。その結果、竹が折れにくいのと同様の仕組みで、鉄鋼が衝撃に強くなった。希少金属を使う場合より費用は数十分の1に抑えられ、さらに、低温でも壊れにくく強い性質を持つことが確認できた。
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